自分の目に飛び込んできた建物というのは、まるで
築20年は経っていようかという程のみすぼらしく、
埃の被ったような、なんとも薄暗い雰囲気をかもし出す
建物だった。

　どこからどう見ても平成3年築には見えないのだ。

「これは何かの間違いだろ・・・。　昭和50年代の
建築物にしか見えねぇじゃん・・・。」

　朝一番で見に来ただけにある意味、最高潮にまで
達していたテンションが一気に冷めてしまった。

　気を取り直し車から降りて一歩一歩建物に歩み寄る。
無意識に足取りは早歩きになっていた。

　そして何度も地図と建物の位置関係を見直してみる
のだが、何度見直してもやはりこの建物に間違いはなさ
そうだ。物件概要書に添付されている明細地図。その
中にある「当該物件」の表示している矢印の先の建物
には○○乳業と記載されている。現地の建物の1階
部分にも○○乳業と大きい看板が出ている。完璧に
間違いようがない。
　
　マジかよぉ・・・。一歩一歩近づくごとに焦燥感が全身に
絡み付くような感覚を覚える。せっかく朝イチで見に来た
のになぁ・・・。なんかダマされたような気がしないでもない。
　しかし、建物の謄本と地図、公図を照らし合わせて
みてもこの建物でやはり間違いない。

「あの担当者・・・。帰ったらタダじゃおかねぇ・・・。」

　先程の焦燥感のようなものが次第に殺意じみた
ものと悲しくて泣きたくなるような感情が交じり合い
込み上げてきたことは否定できない。
　
　とうとう建物の目の前に辿り着いた。車から降り、
わずか数十メートルの距離の移動の間に数々の
思いが錯綜していた。
　
　気を取り直し、冷静に物件を見始めた。角地なので
開放感がある為、見栄えは決して悪くない。しかしながら
先程もご説明したように、外壁がモルタルの吹き付けで
施工されているのだが、埃の膜に覆われているような、
どうにも薄暗い雰囲気に包まれているのだ。

　まさしく、
　「債権整理の物件なんだなぁ・・・。」

と、つい漏らしてしまった。

　正面入り口横には飲料水の自動販売機が4台設置
されており、そのうちの１台はアルコールの自動販売機で
あった。各自動販売機横には各々空き缶用のゴミ置場が
設置されているのだが、どうも管理が徹底されていない
ようだ。捨てきれていない空き缶が山積みになっている
ところもある。その地域のゴミ収集場が目の前に設置され
ていた為か、相乗効果で不衛生な印象が否定できない。
　自動販売機を横目にエントランスに入ってみると更に
い討ちをかけるように、まず、目に飛び込んできたのは、
かなり長い間放置されているような自転車が３台、そのうち
1台は子供用自転車だった。　更にその自転車置場らしい
ところから反対側に目線を移すとメールボックスが設置して
あった。いや、メールボックスと言えば聞こえはイーのだが、
アルミ製のかなりサビと埃にまみれたいわゆる「郵便受け」
だった。中にある郵便物もかなり長い間放置しているような
印象で明らかに回収されていない様子だった。我々が物件を
下見する際には必ずこういう部分にも目を配る。そうする事に
より潜在的な「入居者の質」という部分が見えてくる事が多々
あるからだ。
　無論、これは一概に入居者がいけないとか、だらしない。
という訳ではない。むしろ貸主や建物を管理する不動産会社が
きちんと定期的なメンテナンスを行う事により入居者に対し
暗黙の「きれいに建物を使いましょう！」という抑止力に
つながることになるからだ。
　
　そして階段を上がる。床、壁、そして天井を一通り見てみた。
その瞬間、溜め息と共に、
　
「もういいや・・・。」
　
　この時点で帰ろうと思った。これ以上見てもクライアントに
紹介する物件には値しないなと判断せざるおえなかった。
　
　そして、物件を後にして車を走らせた。一路新宿オフィスへ・・・。

「ちぇっ！　また、無駄足踏んじまったか・・・。」

　今回のような物件はあくまで一例に過ぎない。しかしながら、
日常茶飯事的にあることでもあるのだ。　
　必ずしも、市場に出ている物件が優良物件とは限らないし、
サービサーや金融機関から紹介される物件全てが優良物件
とも限らない。問題はその物件を所有している現オーナーであり
建物の管理を任されている不動産管理会社の意識の問題だ。
　日本に於いてはオーナーより建物管理を委託されながら
きちんと業務を遂行していない不動産会社が少なくない。
建物というのはある意味、生き物なので維持管理を正しく行えば
築年数が１０年、２０年と経過してもとても住みやすい環境を
提供してくれる。しかしながら、その維持管理を怠ってしまうと、
３年や５年位しか経過していなくても「なんか住みたくない」
オーラを放たれてしまい、入居者を遠ざけられてしまうものだ。

　我々は現在、当社代表の倉橋を筆頭に

「ＣＰＭ」（サーティファイド・プロパティ・マネージャー）

という資格の概念を取り入れて日夜業務に励んでいる。
これは欧米では全く当たり前のスタイルなのだが、不動産
投資理論はもちろんのこと、オーナー（クライアント）と
不動産会社の信頼関係や物件を取得後の建物の維持
管理、オーナーの資産管理・運用まで、不動産投資に
関するありとあらゆる知識を得た者にしか資産管理・運用を
任すことをしないが為の資格だ。

　日本ではまだ馴染みがないが、今後は資格者も
日本国内にも少しずつではあるが誕生して行くし、そう
いった概念の基に業務を遂行する不動産会社が増えて
行く事となると思う。
　そういった環境が整いつつある中で、投資物件を取得、
あるいは所有しているオーナーもどういう不動産業者に
自分の資産の管理・運営を委託するかは真剣に検討の
余地があるのではないかと思う。興味のある方は是非
１度当社ＨＰよりご覧頂きたい。

【JREM／国際ＣＰＭ協会】
　http://www.jrem.org/

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　■□　著／　リース・アドバイザー　　中元崇　□■　
　　　
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「地図から検索、略して　地図検　」

10月1日付で港南台オフィスより磯子オフィスへと異動して参りました中元です。

磯子オフィスは杉田の中心地にあり、杉田の街同様に非常に活気が溢れ、
賑やかなスタッフが揃うオフィスです。

早いもので、このメルマガも執筆させて頂く機会を与えられて3回目と
なります。

「振り返るには〜まだ若い〜。」

なんて松山千春さんの歌が聞こえてきそうですが・・・。

先日は当社のメルマガのコピーを持参頂いたお客様を接客させていただく
機会があり、意外に身近なところで購読してくださっている方がいるのに
驚いたのと同時に、非常に嬉しかったです。
気を引き締めてやっていかなければならないと改めて感じました。

当オフィスのスタッフは倉橋の「不動産コンサルタント始末記」でもおなじみの
オフィスマネージャー『廣瀬』を筆頭に、直近のメルマガで「不動産投資」につ
いて執筆させて頂いた『吉田』、そして私『中元』の3人の構成です。
まだまだオープンしたてのオフィスではありますが、当メルマガをご購読頂いて
いる方々のお陰もあり、杉田にて徐々に知名度もあがりつつある店舗です。

そこで今日は今更の感も否めないのですが、あらためて当社のホームページの
「地図から検索」という「お部屋探し」のシステムをご紹介させていただこう
とか思います。

当社ホームページのトップページに関東圏の地図をかたどった絵柄があります。
そこが「地図から検索」への入り口です。
お部屋を探したい「地域」を選んで「駅」を指定すると、莫大な物件情報の中
から「条件を指定」して探すことができるわけです。
一般の方を対象にしたシステムではありますが、時々同業者さんからも当社の
「地図から検索」を見ての問合せがあります。

それだけ便利なシステムということです。

ご活用頂いていますか？

お知り合いの方にも、「便利なホームページがあるよ。」と、一言お声を掛けて
頂ければ幸いです。

物件を指定して掲示板に記入される際に、物件に関する事以外にも「不動産に
関する質問」などお気軽にご質問ください。

最近では「定期借家」に関するご質問がありました。
物件情報をご連絡させて頂くと共にお答えさせて頂きますのでよろしくお願い致
します。

最後に、先日の大型台風および新潟中越地震で被災された方々に
お見舞いを申し上げさせて頂きまして終わらせて頂きます。

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☆11月5日の新着情報☆

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●新宿オフィスより耳寄り情報！●　　　　　新宿オフィス　近藤崇史　　　　

営業時間　AM9:00〜PM9:00 土曜・日曜・祝日も営業！(定休日・水曜日)
※港南台コンサルティングデスクは年中無休にて営業！(年４回のみ休み）
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