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不動産コンサルタントの始末記。突然の相続対策、不動産投資の失敗への警告、不動産セミナー&ビデオ、書籍販売、不動産トラブル処理など、実務に即したコンサルティングを提供します。
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倉 橋 コ ン サ ル 始 末 記
Customer Focus Consulting Networks

突然の相続対策 Part2

倉橋コンサル始末記は、住宅新報に連載されています。


不動産コンサルタント始末記

第5話 価格交渉 

 「こんにちは。」倉橋は、小林の所有する畑が接する国有地を払い下げる為に隣地の阿部宅に小林の長男を連れて訪問した。「私、不動産コンサルタントの倉橋と申します。」
 「はあ。」倉橋と小林を見るなり、阿部の妻は訪問の目的を探るような口調で言った。「このたびは、ご愁傷様でした。」
「通夜の時には、わざわざおこし頂き、ありがとうございました。」小林は、丁寧な挨拶をしながら、率直に訪問の目的を切り出した。「本日は、この裏側の畑のことでお伺いいたしました。」
 「ああ、お父さんが亡くなったいま、畑、必要ないですもんね。」阿部の妻は倉橋が同行していることで、この畑を売却することを察したように言った。「売っちゃうんですか。」
 「いや、まだ、そこまで話が進んでいるわけではありません。」小林は、売却については否定的に答えた。「父が突然亡くなって、相続の関係でいろいろと整理しなくてはならないんです。」
 「小林さんから生前、相続対策のお仕事を戴いていたものですから、私が今後、いろいろと権利調整を行っていくことになりました。」倉橋は、小林に割って説明をはじめた。「この裏の畑については、阿部さんの横から青地を通って入るしかありません。そこで小林としては、この青地を払い下げる手続きが必要になります。阿部さんのお宅は、この青地と接していますので、この青地の払い下げには阿部さんの協力が必要となります。」
 「協力って言いますと。」阿部は、費用等が掛かるのではないかと不安になり質問した。
 「もちろん、青地の払い下げには測量費用等が掛かってきます。」倉橋は、交渉をする際、まず掛かる費用から説明をし、その費用をこちらが持ち、かつ、相手方にメリットのある話をする。「ただ、阿部さんがこの青地を払い下げる意向がなければ、その費用は、当然、小林が全額負担しますし、また、阿部さんの土地も現時点では測量点が明確になっていませんから、本来であれば阿部さんの費用で行わなければならない測量も、今回、ご協力いただければ小林が全額負担します。如何でしょうか。」
 「ええ、でも、うちが負担しなければならないものでしたら、それは、うちで払っても構わないんですが、おいくらくらい掛かるんですか。」阿部は、不安そうに尋ねた。
 「だいたい、30万円くらいは掛かると思います。」倉橋は、金額についてはきっぱりと答え、付け加えた。「せっかく小林側で負担すると言ってますから、ここはお言葉に甘えては如何ですか。」
倉橋と阿部の妻との間で、数回のやり取りをしながら、結局、測量費用等の全額を小林が負担することで国有地の払い下げに協力を取り付けることができた。
 「先生、測量の立会いの日が決まったよ。」倉橋は、その夜、早速、伊東測量事務所の伊東に電話をした。「測量当日は、なるべく多く、ひとを連れてきてください。」
 「え、あの程度なら2人で充分だけど。」伊東は、倉橋が何を言いたいのか分からなかった。「何か、理由があるんですか。」
 「うん、この国有地の反対側に小川製作所ってあるでしょ。」倉橋は伊東に言った。「あの小川さんのとこにアピールしたいんですよね。」
 「だって、今回の測量には関係ないですよね。」更に伊東は怪訝そうに訪ねた。

 「いや、大有りですよ。」倉橋は、ニコニコ笑いながら言った。 「だってこの土地、小川さんに買って貰うんですから。」
測量の当日、CFネッツからは倉橋と野崎、そして小林、伊東測量事務所の4人が現場に集まった。本件土地の侵入路である位置指定道路には、行き止まりであることを良いことに、いつものように小川製作所の車両が一列に並べられており、また、小林の所有する畑の一部にも焼却用のドラム缶や資材などを勝手に置いたりしていた。
 「小川さん、いらっしゃいますか。」倉橋は、小川製作所の鉄の扉の奥に向け、大きな声で呼びかけた。
 「はい、私、小川ですが。」奥から大きな体の小川が出てきた。 「何か、用ですか。」
 「ええ、私、不動産コンサルタントの倉橋といいます。」倉橋は、丁寧の名刺を差し出すと、とり急いで用件を告げた。「すいません、これからあちらの土地で測量を行うのですが、小川さんのところの車を一時どかしてもらいたいんです。」
 「ああ、これはどうも。」一瞬、むっとした表情であったが、路上駐車をしているのは小川のほうなのだからと、社員に車両の移動を命じた。「ここの土地、どうするんですか。」
 「いや、ご承知のとおり、小林が亡くなりまして、この土地を売却しなくてはならなくなりました。」倉橋は、小川の顔色を見ながら言った。「そこで私の会社で購入して、建売でもやろうと考えましてね。今日は、青地の払い下げを行う為の測量を行います。」
 「え、この土地で建売って、住宅を建てるんですか。」現時点でも、近隣住民から苦情を受けていた小川には、聞き捨てのならない話であった。

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