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不動産コンサルタントの始末記。突然の相続対策、不動産投資の失敗への警告、不動産セミナー&ビデオ、書籍販売、不動産トラブル処理など、実務に即したコンサルティングを提供します。
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不動産コンサルタント 倉 橋 レ ポ ー ト 2009年7月号
         
 
現状の日本経済と不動産投資事情

しばらく、「不動産コンサルタント始末記」タッチのレポートが続いてしまった。
最近、不動産に関する詐欺事件などが増えており、これらに警笛を鳴らすために書いていたのだが、なかなか複雑な事件であったため、少々、長い文書になってしまった。現在、先月までの「倉橋レポート 取り込み詐欺 巧妙な手口」の小冊子化を進めており、出来上がり次第、皆さんにお配りしようと考えておりますので、どうぞ、お楽しみに!

さて、リーマンブラザーズが破綻し、米国の自動車業界では、GM、クライスラーが破綻し、世界的規模で、金融機関の信用創造は縮小傾向にある。同様に日本の金融機関においても、3大メガバンクの赤字規模は合計1兆2300億円。これは、尋常な数字ではない。
かつて1990年に起きた日本経済のバブル崩壊においては、当初、政府が発表していた損失額というのは、私が記憶している限りで14兆円程度と報道されていたと思うが、当時この倉橋レポートで、そんな少ない筈はない、140兆円以上の損失ではないか、と書いた記憶がある。実際、実質的には140兆円を大きく上回っており、その後の後処理で生じた企業倒産などによる損失は、この数字に含まれていないから、結果的に、日本の経済立て直しに10年以上も掛かってしまったわけである。

今回の世界的バブル崩壊の損失はというと、概ね6000兆円にものぼると言われている。上記のように記憶に新しい「日本経済のバブル崩壊」の40倍以上の損失が、現在、世界を駆け巡っているのである。また、この数字は前述のGM、クライスラー、そしてリーマンブラザーズなどが残した破綻先債権の数字が含まれていない。今後、日本経済で起こり行く、金融機関の貸し渋りによる破綻先債権の損失なども、当然、考慮されていない。
ご承知のとおり、日本国内においては、相変わらず建設、不動産の業種やゴルフ場などが目立って倒産しており、今後も、まだまだ続くことになる。先月末には、ニューシティコーポレーションが120億円の損失を出して倒産した。金融レバレッジを利用したファンドが期限を切って投資した日本の不動産投資信託事業から撤退。同時に、ファンドに売却する為に仕入れた、あるいは建築した物件はダブつき、この影響で不動産の在庫は積みあがる傾向にあり、更に経済不況突入によって新築物件の需要も減退。供給過多のアンバランスは続き、それに伴って中古住宅の価格なども、地域によっては値下がる可能性がある。

よくセミナーでお話しているのであるが、建設、不動産業等の景気が悪くなると、大型の乗用車が売れなくなり、次が家電製品、飲食店、百貨店、スーパーなどに連鎖するものである。企業の収益構造が悪化すれば、その会社の社員の給料は下がるし、ボーナスなども出ない。従って個人の可処分所得が下がることで、節約志向は高まり、この節約志向は、決して元には戻ることはない。併せて、団塊の世代の人たちの退職は加速し、就労人口は減少の一途であり、今回の全産業の利益圧縮により、国税、地方税共に、税収も悪化するから、公共事業も縮小せざるを得ない。
つまり、経済全体が良くなる要素は、しばらく期待できない。
ただ、この経済の縮小と不動産の需給バランスが、日本全国均一かというと、決してそうではない。実態的には不均衡なバランスが形成させていて、首都圏に需要は集中している。また、この歪んだ市場形成においては、やはり日本の金融事情か絡んでおり、メガバンクの不動産担保融資に大きく影響を受けているわけである。ここは、チャンスだ。

例えば現在、ワンルームマンションの価格が異常な下落をしている。これはメガバンク、および地方銀行が貸し出しを絞っているわけで、金融機関が個人の投資資金を貸し出すという姿勢を金融監督庁が「如何なものか」との物言いを受けての態度であり、これはしばらく続くものと考えられる。従って、ワンルームマンションの購入資金は、ノンバンクで調達せざるを得なく、調達金利が高い分、投資利回りも高いものを要求せざるを得ず、物件価格が下落しているという構図になっている。この場合、一つは、一度、高い金利でも資金を調達して複数の物件を購入し、将来、金融機関が正常になったときに、安い金利に借り替える方法。もう一つは、現金で価格を交渉して、より有利な投資を実現する方法である。ただし、なかなか現金で買い続けるのも難しいことから、当社では、「CF−1」という商品を開発して「社債形式」の間接的な不動産投資を行っている。
また、1億5000万円位までの物件は、現在、首都圏では、人気も高く、キャップレートは低い状態で安定している。つまり、この価格帯についての需要は集中してしまっており立地条件等の良いものは、価格が下がる前に決まってしまっている。
そして2億円を超える物件については、ファンド等の買主が減ってしまってキャップレートは高くなってきている。1億5000万円位までの物件と比較すると1%以上高い。当社としては、この部分の投資についても、売主側がバルクセールに対応してもらえる物件を顧客に分割して販売し、有利な投資に組み立てている。

また最近、地方の資産家が首都圏に資産を移す動きが出てきている。それは、相続税の課税制度の中で「小規模宅地の評価減」というのがあり、事業用の土地については、賃貸住宅などの場合、200uまでの土地は、その評価が半分になる制度である。例えば、地方で路線価が1u当たり10万円の土地では、2000万円の半分、1000万円分が評価減となる訳だが、首都圏で1uあたり100万円の土地であれば2億円の半分、1億円の評価減となる。これは、中央官庁で定めて税制を取り決めている弊害であり、相続税などは納税額が問題であるのに、所有土地の面積制限で優遇措置を決めているわけで、これは首都圏中心的な優遇税制であるといわざるを得ない。従って、地価が低い地域等で広大な土地を持つ地主などは、この制度を活用すれば、相続税が圧縮できる為、結局、首都圏の不動産を購入することになる。さらに住宅事情でいえば、地域診療の衰退から、富裕層の首都圏への移転も避けられない。
不動産投資については、今後、しばらく都市集中型の市場形成は避けらない。


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