ここの所、不動産業界では、FC化が進み、疲弊した不動産業者が軒並み加盟している状態が続いている。
既存の大手FCチェーンのシステムでは、広告が中心となったものばかりで、FCチェーンといっても、看板代みたいなもので、不動産業界全体の質的向上には結びつくことはなく、むしろ逆にイメージ戦略が先立って社員教育がなされず、ユーザーに誤認を与えるばかりで、業界全体の進歩発展に役立たない。
また中には、詐欺まがいの商法を推奨して「儲かる商売」として、社員に販売を強要するものまであるのだから、不動産業は企業倫理から乖離する一方である。
たとえば、大手フランチャイズの事例である。
当社のグループ企業の管理物件で「ゴキブリ」が出たとの苦情があった。
季節的にも、ま、ゴキブリくらい出ても仕方がないと思ったが、よくよく聞いてみると、この入居者、契約時に「消毒料」として1万8000円を支払った、消毒したのにゴキブリが出たのでは詐欺ではないか、というのだ。
この物件は、某大手フランチャイズの店舗が入居者をつけてくれ、オーナー側を当社のグループ企業が担当した物件なのであるが、そもそも、案内(物件を見に来ること)の時にしか物件の鍵を渡していない訳だから消毒などする筈がない。結局、業者に苦情を入れた所、「間違えました」などといって、消毒代金を入居者に返金した。
その業者が取り扱っている「消毒」とは、500円程度の薬剤を特殊な機械で散布するという簡易なものだが、いくら何でも1万8000円は取りすぎであるし、おまけに消毒していない部屋にも請求を立てているところをみると、全物件に請求を起こしている可能性がある。
この事例以外にも、まだまだあるが、FC店舗と本部の齟齬によるトラブルも多く耳にするところをみれば、FCシステム自体、本来の体をなしていないのではないかと考える。
先日、採用した私の第3秘書の黒川などは、建築、不動産の仕事をしていた所、父親が倒れ、やむなく、大手フランチャイズのコンビニエンスストア2箇所を引き継いだが、結局、採算はとれず、累積赤字を解消することは不可能と判断して、その権利を売却して当社に来た訳だが、話を聞いてみると誰のためのFCなのかわからない。日本のFCの概念自体、FC本部の利益追求のために行われている懸念は強く、FC店舗、また、そこの顧客の利益を度外視しているようにしか思えない。
先日、懇意にしている熊本の会社からオファーがあった。
某FCに加盟はしたが、まったく話と違い困っており、その加盟金は捨てたと思って、CFネッツがFC展開を行う予定であれば、一番で加盟したいので、至急、検討してもらいたいとの趣旨であった。
当社開業時点で、一度、FC展開を試みたが、失敗した経験があり、FC展開には消極的であったが、現状の不動産業界、顧客利益、社員教育、株主利益、そして当社の全国展開のビジネスモデルなどを考慮すると、日本の不動産業界に当社のビジネスモデルは貢献できるし、また機は熟していることは明確である。
人のために役立つ会社。カスタマーフォーカス(社名CFが略)の思想に基づく、コンサルティングネットワーク構想。この概念は全国どこに行っても受け入れられているし、この他社にない概念による不動産知識と技術を広く推し進めることは、社会的にも利益であることは間違いがない。儲ける為の企業から、顧客利益を優先して儲けさせて頂く企業との違いは、似て非なるものである。
かつては、この思想自体、成り立たないものとして揶揄されていたわけだが、実際、当社がこれを実践し、実現できている。ただ、これは、経営者の強い意志と社員教育が一致してできるものであり、誰でもできるものではない。
そこで、FC展開をするにあたっては、経営者と企業を選ばせて頂くようにしようと思っている。FCチェーンの場合、FC本部が営業をかけて加盟金目当てで動くわけだが、当社の場合、あいにく全グループ会社が利益を上げている関係上、多額な加盟金等もらった所で、税金でもっていかれるだけで意味もない。それであれば当社のシステムを導入してもらった後、経営者教育、社員教育を充実し、情報を共有してノウハウを構築し、またイベント等を組んで顧客サービスに注力して行ったほうが、地域社会に役立つし、既存の当社のクライアントの利益にも繋がる。また、どの地域においても、高度な技術を要する相続対策や不動産投資、土地有効活用等は、私や専門スタッフがプランを組み立てて実行すれば、まず失敗することはないから安心であるし、安易なプランで騙されることもない。
また当社では「エンジンルーム」と呼んでいる心臓部がある。これは、賃貸管理から経理部門までを一体とした事務作業を行うセクションであり、通常、この部分の開発が難しい為、プロパティマネジメント会社は苦労する。新規管理、あるいは管理引継ぎをする場合、賃貸の契約から入出金の管理、滞納督促、クレーム処理、ベンダーへの修理発注、メンテナンス管理、空室管理、保険業務まで、これらを一体として行うには、かなりの人員を採用しなければならず、管理物件が少ないと採算割れに合わせて満足なサービスなどできない。
これらを改善するにはやはり企業規模と熟練したノウハウが必要であり、CFネッツのFC展開においてはこれらをカバーすることによって、より地域に根ざした深いサービスの向上に結びつけることができると考えている。そもそもFC展開等、フランチャイザーとしてリスクは高い筈である。にも拘らず、FC展開を仕掛けている企業は多い。実際、ノウハウなどもない企業がFC展開をしていたり、親会社の看板だけでFC展開を推進しているものも多い。
虚業でなく、実業のFC展開。目指して行きたいと考えている。
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