アメリカ、およびユーロでは、サブプライムローンの焦げ付きで経済全体が揺らぎ続け、日本でも、サブプライムローンの影響が出始めてきた最中、なんと、国民が忘れかけていた「住専問題」が浮上してきた。
この「住専問題」では、今回のサブプライムローンと状況が極めて似ており、都市銀行や地方銀行が貸付できない案件で住宅金融専門会社などを通じて迂回融資を行い、不動産やゴルフの会員権、株式投資などに資金がまわって、あのバブル経済を発生させ、結局、無理な貸付による消費など長続きするはずもなくバブル経済は崩壊し、政府が1996年に金融機関の損失穴埋めの為、6850億円の公的資金を投入した。また、回収の可能性がある債権については旧住宅金融債権管理機構が、民間金融機関から融資を受けて約4兆6500億円で買い取ったわけだが、これらについては2006年度末までに、担保不動産の売却などで3兆1630億円を回収できたものの、長期化した債権回収に時間がかかりすぎ更なる担保不動産の価格下落で債権の買い取り価格を下回る額しか回収できず、結局、追加損失は2753億円に拡大したようだ。旧住専処理に関する特別法では、2011年末の債権回収機構の回収終了時点で確定した未回収による損失については、国と回収機構に融資した民間金融機関が折半で負担することになっており、損失が残れば約束どおり政府が公的資金を投入する必要があるわけだ。
サブプライムローンの問題は対岸の火事ではなく、日本の銀行や投資会社も多額な損失を被っているわけだが、この「住専問題」のつけも、さらに重なるとなれば、またもや、日本経済は混沌とした状況に落ち込む可能性は高い。
また、反面、原油価格は、一時、1バレル当たり93ドルを越えており、今後、イラク領土内で、トルコがクルド人と本格的に争うことになれば、中東全体が一気にまずいことになる。
アメリカの目論見は、再度、軍事需要で一気に自国経済を立て直そうとしているようだが、逆効果は明確であり、アメリカの信用力は一気に崩壊し、あわせて原油取引の基軸通貨もドルからユーロに変わりつつあり、米国債は8月だけでも、6兆円も売り込まれている。
更に、日本の金利低迷により海外ファンドの人気が上がり、個人の投資家たちが日本円を売って米ドル建てで投資していたファンドも、そのうち、米ドル建て債券を売って、日本円に交換する時期が来るから、ここでも、大量一気に円が買われ、米ドルが売られることになれば脆弱なドルは敏感に反応せざるを得ない。
勿論、そんなことは当然、日本政府はわかっているが、何ら手など打てる筈もない。
ところで皆さんも、薄々、感づいていると思うが、政府や官僚って日本国民のためになっていないと考えるのは、私だけだろうか。
年金問題での厚生労働省、国民が納付した年金保険料の26兆円と税金(年金国庫負担分)6兆円が、財政投融資や資金運用基金に流れ、全額国民に還ってくるはずの年金が、不要なものの建設費や天下りした公務員の退職金や給料に支払われ、また、投資に失敗した投資専門委員の給料や退職金、グリーンピア事業などの損失、そして年金関連施設の265カ所(施設費だけで1兆5700億円)など、赤字垂れ流しの状態で、我々が積み立てていると思っていた年金基金を湯水のごとく使いまくってくれている。一体いくら垂れ流したのか解らないが、こんなことなら、政府に銀行の普通口座を設けてもらって、単純に貯金しておいたほうがましだったわけだ。
また、最近の防衛省の不祥事や政治の混沌とした状況を見ていると、ひょっとしてこの人たちは要らないのではないか、本当はいないほうが、あるいはないほうが良いのではないかと考えてしまう。公務員全部という訳ではないが、少なくとも大臣や官僚の上層部には大きな責任があるのに、彼らは何ら責任を取らずに民間人より多額な退職金を複数回貰って悠々と暮らしている。まさか独立国家を創るわけには行かないから、結局、高額納税者や優秀な人たちは、日本国に愛想を尽かして海外に渡ってしまうという現象は止まらない。
米国が創り出し、自由という名の資本主義経済は、最終項に突入している。戦争と恫喝、略奪を繰り返して維持してきた金融資本主義経済は、経済の本質的価値を歪め、世界中に貧富の格差を拡大させてきたわけだが、どこかでこれらの帳尻を合わせるしかなく、かねてから私がお伝えてきた「ハイパワード・インフレ(ハイパワードマネーがもたらすインフレ)」の兆候が明確になってきている。
金価格、原油価格などの高騰、それに伴う商品価格の高騰。あわせて経済的損失を埋め続けて発行されてきた各国の大量な貨幣による貨幣価値の下落、そして世界の基軸通貨は米ドルからユーロに移行し、世界が保有している外貨準備金の価値が下落すれば、世界的な貨幣価値が下がる、つまり物の価値が上がるハイパワード・インフレに突入する。
その際、当然だが資源のある国は強いが、逆に資源のない国は弱い。個人的にも、物的資産のあるものは強く、ないものは弱い。
そもそも私自身は年金など期待していないし、社会保障制度も信用していない。また学生時代に起業したときから、退職金などあてにしていないし、親の資産もあてにしていない。
ものごと、あてにしていなければ、期待を裏切られることがないわけだから、日本において生きる為の思考回路は、今後も日本国をあてにしないことではないだろうか。
ちなみに不動産投資が厳しい環境になっているのは、既に収益を目的とした不動産価格の高騰の兆しが現れている証拠なのである。
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