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不動産コンサルタント 倉 橋 レ ポ ー ト 2001年1月号
         
 
20世紀の日本経済を踏まえ、21世紀の最初の4半世紀はどうなるか!

いや、本当に、20世紀最後の約10年間は、とんでもない経済を続けたまま、最後の幕を閉じてしまった。

  20世紀最後の2000年末の日経平均株価は、1万3785円69銭(29日大引け)と、年末終値ベースではバブル崩壊後、最安値を更新してしまった。また、為替も114円60銭と、若干、円安には振れたが、購買力平価である160円程度と比べれば、依然、円高水準で幕を閉じた。
  また、政治はというと、今世紀最悪の支持率を誇る「森内閣」が、2世紀にまたがって日本の政治を行っているのだから、これは何かの陰謀ではないかと疑いたくなるような状況である。
 ちなみに、19世紀と20世紀をまたがった内閣は、伊藤内閣。ご存知、伊藤博文が総理大臣である。「殖産振興、富国強兵」を掲げ「八幡製鉄所」を開業にこぎつけ、日本の近代製鉄のスタートを切り、日本の国民に対し、将来の夢を与えるような政府であった。その後、強兵面が強くなりすぎ日露戦争に突入してしまったが、この頃のダイナミックな日本の政治家と比すれば、何か、現在の政府を見ると、現国民として恥ずかしい気分すら起こってくる。おまけに、平成の内閣をみると、かの69日内閣の宇野宗佑からはじまって、海部俊樹、宮沢喜一、細川護煕、羽田孜、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、そして森喜朗、である。他に人材がいないことも恥ずべくことだが、笑いを飛び越して、悲しくなるような政府に、21世紀の最初の4半世紀の舵はとれるのかどうかが疑問である。

  日本の政府を改革するとなれば、民意を中心とした大統領制度を導入するしかないわけであるが、現時点では、かなり難しいことはいうまでもない。従って、当面、アメリカ主導型の政策に、NOと言えない日本は従わざるを得なく、この辺を踏まえて、日本経済を読む必要がある。
 さて、本業の「不動産」ではどうかを考えてみると、古いデータがないので明治37年(1904年)以降で考えるしかないが、地価変動率では対前年度比マイナスを記録しているのは、明治37年(1904年)、大正3年(1914年)、大正9年(1920年)のそれぞれ1年づつ、変動率はいずれもマイナス10%に満たなく、昭和に入ってからは昭和5年、6年と2年連続して10%程度のマイナス、その後、昭和50年(1975)に約5%程度のマイナスを記録した程度であったが、平成3年から現在まで、毎年3〜5%程度づつマイナスとなる事態になっている。
  また、名目国内総生産(GDP)は、昭和58年を100とする数値は、平成12年には183に成長しているにも拘らず、平成7年から地価はGDPの伸び率を下回り、平成12年では、全国の宅地平均で142、三大都市圏の商業地は、何と96.1というのだから、経済原理の根底を覆すような事態である。
 つまりバブル崩壊から今日にかけて、日本の地価、日本の株価は下げ続け、大企業の含み資産が低下し、併せて卸売り物価も下げ続け、ついに企業収益力の低下から、日本中の企業が耐え切れず、大型倒産が立て続けに起きているわけである。
 2000年では、目立ったところで「スーパーの長崎屋(負債総額3039億円)」「分譲住宅のエルカクエイ(負債総額1351億円)」「ノンバンクの日貿信(負債総額2899億円)」と、4月頃までは、驚くほど大型倒産が続くと思っていたら、5月には「消費者金融のライフ(負債総額9663億円)」「第一ホテル(負債総額1152億円)」、6月には「そごう(グループ負債総額2兆9227億円)」が倒産、続いて「西洋環境開発(負債総額5175億円)」、「飛栄産業(グループ負債総額6900億円)」が倒産し、そして10月には、なんと立て続けに保険会社「協栄生命保険(負債総額4兆5296億円)」「千代田生命保険(負債総額2兆9366億円)」2社が倒産し、電化の「ロケット(負債総額413億円)」が倒産、11月には日本信販系リース会社「インターリース(負債総額4438億円)」、12月には「靴のマルトミ(負債総額761億円)」が倒産している。また、リゾートやゴルフ場関連は、数え切れないほど倒産している。また、同業者では6月に、「朝日リビング(負債総額142億円)」が倒産してしまった。
 2000年内の倒産企業の負債総額集計は、まだ発表されていないが、20世紀最後の年は、多分、20世紀最悪の負債総額を記録することになるのではないかと思う。

  そして、この「負債」は、誰かが返さなければいけないという事実があるのである。

 一時期、金融機関救済のために、公的資金が使われた訳だが、今度はどうするかが焦点となるだろう。
 現時点で、国と地方自治体の借金の総額は600兆円を超え、さらに毎年30兆円ずつ借金をし続けるわけだから、2005年には、1000兆円を超えるともいわれている。従って、公的資金もあてにはならない。一時的に国債を発行してしのいだとしても、その国債もいずれ返さなければいけない借金であるから、むやみに発行はしたくない。
 政府は、政府で、財政赤字なのだから、とりあえず増税するか、緊縮財政の為に政府や地方自治体は、リストラなどして支出を減らさなければならないわけだが、現状、増税は国民が納得しそうにないし、リストラも断行できない。このままでは、日本経済は駄目になることをみんなが承知しているのに、みんな公務員だから自分たちが不利になるような判断はしたくない。また政治家としてみれば、非常に早いサイクルで繰り返される選挙で、落選でもしようものなら、自分自身が破産宣告でもしなければならないような事態にもなりかねず、落選したくないから強いことは言わない。
 そんな「なあなあ」の政府に、日本が有利になるような国際的な政治判断はできない。
 となると、現時点でアメリカの都合のよい政治判断をせざるを得ないわけである。単純に考えて、債権国「日本」と超債務国「アメリカ合衆国」で考えれば、アメリカの利益は「日本の損」である。円高に調整してアメリカの製品を買わせるなどといっているような単純な策では、日米同時不況になりかねない。かといって、武力を行使して、どこかで戦争をするといっても、冷戦時代になじまない。

 そこで「金融の量的緩和」が考えられるのである。

 世界中にばら撒いた「ドル札」に見合うだけ、日本円も「増刷しろ!」という話である。
 この場合、日本の政府としては、強烈なインフレが考えられるから現時点の日本経済には好ましい事態ではないと拒否しているようだが、先に書いたとおり、日本国と地方財政は火の車状態であるから、こちらにとっては、インフレは大変都合がよい。国民をとるか、政府と地方自治体をとるかの選択では、いつもの話で国民をとるはずがない。バブル崩壊以降、企業の救済状況をみればわかるとおり、政府に関係しそうな企業は救い、政府にあまり関係しない企業は、大手であろうと救済しないのである。
 状況を見て、政府と日銀とで話がつけば、後は一気に借金チャラに向けて、巨大なマネーが増刷される。
 アメリカからしてみれば、現時点でもインフレが生じつつあり、このままでは都合が悪い。東南アジアにおいても、ここのところ大幅なインフレが起こっている。債権国「日本」だけが物価が安定していることは好ましくない。また、日本の企業側からしても、そろそろ、いい加減に「デフレ経済」から脱出したい。また、これ以上、日本の株価や地価が下がりつづければ、含み損は拡大し、本当に21世紀のはじめに倒産に追い込まれる可能性もある。金融機関も生命保険会社も、このままでは、本当に危ない状況にあるわけだから、なんとかしなければならない。そのような風潮が続き、さらに外圧で「金融の量的緩和」を強いられれば、もう他に選択肢はないのだから、やるしかない。
 噂によると、ヘッジファンドの連中は、その運用先を「アメリカの株式や債券」から「 石油、非鉄金属」「日本株」「アジア株」等にシフトしているそうである。
 さて、そのような状況の中で、考えられる21世紀の入り口に起こりうる「不動産」に対する影響はどうか。
 2001年は、現状の企業の疲弊がさらに悪化するところが増えているから、かなり倒産する企業は出るだろう。しかし、金融機関もそろそろバブル期の不良債権も処理してきており、2000年の倒産企業による損失が追加されるが、今までよりも明るさが出てくるのではないか。また、来年からは、さらに「郵便貯金」の満期期日が迫ってくるから、市場に流動性資金は供給されやすい。
 アメリカのダウ平均が、9000ドル程度まで下落し、アメリカ経済が危機的状況に陥りそうな状況にもってきて、そこから「金融の量的緩和」受け入れによるハイパワード.インフレが世界を駆け巡る、というようなシナリオではないか。
 その際、現金は目減りし、不動産価格は、ここ5年ほどの過去の歴史にないほどの下落幅を調整することになるのではないだろうか。
 取り急ぎ、2001年のはじめ頃は、都心部の不動産は買い場であることに違いない。
 「利は、元にあり」。不動産も、株式も。買いの時期が非常に重要である。

 時期としては、最高のチャンスではないだろうか。

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