「IT(情報技術)による情報革命下の不動産業
勝ち残りへのアプローチ」
いよいよ世界経済は本格的な時代の変革期に「突入」しようとしている。
めまぐるしく進化するIT(情報技術)によって、情報化社会がさらに進化し、従来のような「単なる情報」
に消費者は価値観を見出さず、また、これらを駆使した流通革命も同時に急激に進んでおり、流通にも、ますます価値は薄れる時代になってきたと言える。
かつて「デフレ経済下では物価が下がるのだから、人々の所得が上がらなくとも豊かな暮らしができる」などと、
馬鹿げた論理でデフレ経済を肯定的に、また推奨的に伝えていた学者やマスコミなどもいたわけだが、結局、
企業の収益率は下がり、働く人たちの所得水準は下り、そして国に至ってみれば税収入が下がっているわけだから、
さらに国民の税負担は重くならざるを得ず、不景気感は払拭できない。
併せて、企業収益率が下がって株価は下がり、
国民所得水準が下がって、不動産価格も下がり、おまけに賃料収入が下がって、不動産投資意欲が減退し、
全体的な不動産価格下落に拍車をかけているわけだから現状の日本経済は、本質と乖離し相かわらずの泥沼状態のように見える。
既にバブル崩壊から10年をカウントしようとしているのに、いまだかつて、経済が浮揚せずにいるのは、日本の金融システム
に大きな欠陥があり、これらの改善がなされない以上、景気の回復は見込めない、という理屈に気がつくのが遅かったためである。
詳細については、かなり前の本レポートに書いたから割愛するが、予想としては来年の3月頃を目処に不良債権処理を一段落させ、
金融機関の統廃合とリストラを進めて経営体質を改善しようというのが取りあえずの目標だろう。
本来、現状の日本の金融機関に必要なものは、新たな商品開発であるのに、10年近くも不良債権処理にてこずって一向に前に
進めないのだから、この国の金融機関は、あまりに幼稚すぎて今後も国際社会では通用しないのではないかと本気で心配させられる。
話はそれたが、そんな現状でのITによる、急激に進歩した「情報革命」である。
最先端の情報や技術を駆使し、新たな事業構築をしなければならない時期だというのに、急激な企業収益悪化のために
先行投資はできずリストラによって人員削減に走っている企業は多い。
また経営者にも過去の経験則上の知識しかもたず、新たな先端技術を理解できる能力が必要であるにも拘らず勉強不足が
祟って情報不足となり、的確な経営判断ができない企業もまた、多い。
時代が急激に進むことにより経済のスピードが急激に進み、そして働く人の能力水準も、かなり高い水準を要求される。
おまけに規制緩和が進むことによって、働くひとの移動も業態を超えて、急激に進んでいる。
例えば証券会社と銀行の垣根はなくなり保険会社も生保と損保の垣根はなくなる。
あわせて金融機関が信託業務を推進すれば単なる情報提供だけの不動産業者は陶汰されることになる。
高い質の企業においては、人材はどんどん高い水準を求められ、高い水準の人材は自らの能力を発揮できる企業にフィールドを
探して転職し、低い水準の企業には、結局、低い水準の人材が滞留する。
そして、やがて勝ち組み企業と負け組み企業にはっきりと陶汰されることになる。そんな時代が目前にきている予感がする。
いつも講演で話すことではあるが貧しい時代の「昭和」から豊かな時代の「平成」に入ってから、「人」も「企業」も、
とてつもない変革にさらされ、その陶汰が急激に進み、本来、経済が豊かになれば人々の暮らしも豊かにならなければならない筈が、
現状では経済も企業も、そして働く人々までも疲弊しだし、荒んできてしまっている。
IT(情報技術)は本質的に人間を豊かにするものでなければならない。その為には、本質的な人間性を培う努力を怠らず、
併せて使う人が先端技術を取り入れ、有効に活用できる技術力をもって取り組むしかない。
それが、今後、陶汰されざるを得ない不動産業界で勝ち残るための第一のステップではないだろうか。
欧米では近年、不動産業者不動産管理業者の約50%が倒産の危機に直面した。
この流れは間もなく日本にも訪れれることは間違いない。
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