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不動産コンサルタント 倉 橋 レ ポ ー ト 2000年12月号
         
 
サンフランシスコの夜は、かつての日本の「バブル経済」のときと比しても、
かなり過剰な状況であった!

 
 
先週、サンフランシスコから戻った。

「国際CPM推進協議会」の副代表などをやっている関係で、毎年、2〜3回はアメリカ本土にわたる機会があるがしかし、今年のサンフランシスコは異常であった。
今回は、2週間程度の滞在で、ほとんどの期間、研修や企業視察、プロパティ.ツアーだったので、毎日、朝8時から夕方の5時頃まで拘束されるから、ホテルに帰って街に出たりするのは、必然的に、午後7時過ぎという事になる。
せっかくサンフランシスコにきたのだからということで、仲間とシーフードのレストランやカウンターバーなどにでかけた訳だが、まず、どの店にもすんなりと入ることはできない。どこの店も、お客さんがいっぱいで入れない状況である。サンフランシスコはシリコンバレーが近いということもあって、IT関連の企業に勤める若者達だろうが、それにしても異常な好景気ぶりである。また、街の中心部にあるショッピングモールは高級ブティックが立ち並び、以前であれば日本人観光客がブランド品を買いあさっている光景の筈であるが、いまや現地の若者達が普通のスーパーで買うように、高級なブランド品などを買っている姿があるのだ。

 また、サンフランシスコには、日本人も多いせいか「寿司店」や「日本料理店」も多くあり、以前、ホノルルの「寿司店」で食事をしたときなどは、ほとんど日本人しか食事しておらず、なぜアメリカ人が来ないかと店主に疑問をぶつけたことがあったが、そのときの応えはアメリカ人ではとてもじゃないが夕食に50ドル以上使うなど考えられない、ということだった。が、いまや、サンフランシスコの「寿司店」はアメリカ人でいっぱいである。
 今回、私たちが食事した「寿司店」の日本人のウエートレスにいろいろと現地の話を聞いた。彼女は、現地のアメリカ人と結婚をして、昨年の6月にサンフランシスコに移り住んだそうだ。昨年の6月に構えた新居は家賃が1000ドルで1年契約。そのときも家賃が高いとは思っていたが、ゴールデンゲートよりサンフランシスコ寄りのエリアでは便もよく、仕方なく契約をしたそうだが、今年の6月の再契約でオーナーからの提示された賃料は、何と1600ドルだそうである。つまり、サンフランシスコの賃料はこの件だけで見れば、たったの1年間で60%の上昇率ということになる。彼女は賃料の交渉はしたものの、結局、その賃料を承諾できなければ出てくれ、ということで、他の住居も探してはみたものの、やはり何処も賃料が上昇しており、渋々その賃料で承諾したそうである。そこで、生活に困窮し、慣れないウエートレスをしているそうである。
 また、分譲の住居についても、かなり上昇が目まぐるしく、ちょっとした建売りみたいな住居が、日本円で換算すると1億円くらいしてしまうのだから、狂っているとしか言いようがないありさまである。

 
アメリカは、インフレなき経済成長をとげているなど、とんでもない誤解であることが現地の雰囲気でわかる

 ところで、アメリカの好景気は、日本のバブル経済のときのそれとは違い、個人の消費が好景気を支えている感がある。
また、401Kをはじめとする資金運用を見ても、株式等の債権投資に依存しており、日本人とは違って、ほぼ預貯金等にはストックがなされていない。
 現時点で、日本ではバブルが崩壊してからも個人のストックは減るどころか増えつづけ、いまや1360兆円に達しているほど、預貯金率は高い。つまり、日本の「バブル崩壊」のときには、一応、ワンルームマンションをはじめとする投機的に買った不動産や、ゴルフの会員権や絵画、スーパーカー等、買ったものの価値が下がって精算しきれずにバブル崩壊となったわけだが、精算する際には、手持ち資金や連帯保証人の資産売却などによって、ある程度の個人ストックを吐き出せたから、まだましであったが、現時点のアメリカで、それも日本のバブルとは比べられないほどのバブル崩壊となればとんでもないことになることは、容易に想像がつく。
 かつて日本のバブルの絶頂期に、アメリカに渡ったときに、日本の生命保険会社の資金運用部の人たちをアメリカのディーラーたちが「THE SEIHO!」と呼んで、「利回りさえ高ければリスクを考えずに何でも飛びつく」といって馬鹿にしていたのを見て、これでは日本の生命保険会社も潰れるのではないか、といって、私自身笑われたことがあったが、10年以上たった今年、残念なことに現実のものとなってしまった。
 
 さて、問題は、今後の経済である。

 21世紀に突入するのに、あと1ヶ月を切ったところで、世界の経済は、かなり不安定な時期となるのではないかと思う。
 まず、前述したとおり、アメリカ経済を牽引してきた「IT関連企業」に不信感が漂ってきた。前倒しで将来価値を織り込んできた株価の伸びに限界が生じ、ナスダックをはじめとする株価の調整が行われることになれば、将来的に為替に大きな影響がでかねない。
 ちょっと過激なシナリオを想定してみれば、日本国内においてハイパワード.インフレの可能性あり、というところだろうか。
 これは、中央銀行がハイパワードマネー【high-powered money】を増やし、マネーサプライを伸ばすことによっておきるインフレーションであるが、通常のインフレのように物価が上がり、つられて労働賃金が上がるものとは違い、通貨供給量が増え、貨幣価値が下がるインフレであるから、あまり好ましいものではない。
 まず、アメリカのドルが信用不安によって、世界一斉ドル安になったとする。
 すると、基軸通貨であった故に、海外、とくに東南アジアでは自国通貨より信用があった基盤が崩れ、一斉に他の通貨と交換しようとする動きになるが、時、すでに遅しで、何処も引き取ってくれない。すると、アメリカは、国内に他国通貨はないからアメリカ国内で消費しろ、ということになるが、現時点でもアメリカの製造業は衰退しており、海外依存型となっているのだから、当然に買うものなんて、たかが知れている。そして、世界中のドル通貨がだぶついた頃に、東南アジア諸国は、円借款に目をつける。
 確かに借りた金は「円」だけど、返すときには、だぶついた「ドル」でもいいんじゃないか、ということになる。
 そして、世界中の「ドル」が、「円」とか「ユーロ」に交換しようとするわけだが、あいにく、均衡財政を保っている日本に、「円」はない。
 しかしながら軍事力をもたない悲しさであるが、世界各国とアメリカの政治的圧力に負け、泣く泣く世界恐慌と引き換えに、日本は「均衡財政」を反故にし、ドル安に対抗して「円」の供給に踏み切ることになるのである。

 ちょっと過激なシナリオのようではあるが、ならないとも言い切れないシナリオではないかと、私は考えている。

 20世紀の最後の月の本レポートで、何とも過激なことを書いてしまったが、これは、けっして消極的なものではない。
 歴史や経済の混乱期には、いつもそうであるように、大きなチャンスが潜んでいるものである。株価や為替については、あらゆる要素で変動するから、何とも安定した投資にはならないが、債権ではなく不動産などの物権の価格は、インフレ時には有利な投資が出来るものである。また、収益構造も、不動産投資の場合は、インカムゲイン(賃料収入等)があるわけだから、安全性は一番高い。
 
 ここの所の都心部の不動産の収益物件価格は、かなり上昇傾向にあることはご存知のとおりである。
 今後の不動産投信の行方が、日本の不動産の将来に大きな変化を与えることは間違いない。

 
 
21世紀には、不動産を通じて豊かな未来を創造してゆきたいものである。

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