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1998年。倉橋流「日本経済改革論」?


せっかく立ち直りかけている「日本経済」は 「落第点の政治」と、「自浄作用なき官僚」、 そして相変わらず呑気な「日銀」によって足を引っ張られている「感」がある。

  最近、「日銀」が発表する「短期経済予測」を聞くたびに思うことであるが、まったく現状から「乖離」した「予測」ばかりであり、 一度、「日銀総裁」は「風説の流布」で訴えられたほうが良いのではないか、などと思ってしまう。

  かつて「護送船団方式」によって潰れる筈のなかった「銀行」が軒並み潰れ、証券大手の「山一証券」も潰れ、今後、 これらに伴って派生する「生命保険」や「ゼネコン」「ディベロッパー」等も潰れそうな上、個人の「自己破産」は 過去最高の「7万件」に及ぼうとしているのに、いまだに「景気」は「後退」局面に入っていない、というのであるから「呑気」とか 「間抜け」とかいっては失礼かもしれないが、他に形容できる言葉は見つからない。

  どうも「日本の政府」は、この「身内」の発表する「データ」を信じて行動する「癖」がある。この辺の「姿勢」を 変えなければ「政策判断」も見誤るし、結果的に「インパクト」のない「政策」を「小出し」にしては、 「無駄遣い」ばかりして「国民」の負担を増やしてしまうことになる、のである。

  現状の「橋本首相」は「まじめ一本槍」で「間違えた方向」に進んでしまうから、かえって「方向転換」は難しく、「質(たち)」が悪い。

  ここへ来て「政府」は慌てて「所得税特別減税」などを実施するが、残念ながら「個人消費」にさほどの影響は及ぼさないだろう。 だいたい、「所得税」なんか「減税」しても「所得税」を払っているひとに「ちょっとした」お金が返ってくるだけだから、 この「不景気感」が続くかぎり「貯蓄」や「借金」の「返済」に回るばかりで、一向に「個人消費」に回るわけがない。  

  現実的に「個人金融資産残高」は一昨年で「1200兆円」だったが、昨年末には「1270兆円」に増えているのである。

  「マネーサプライ」が「3.8%」も伸び、おまけに1年間で「70兆円」もの「個人金融資産」が増えているのに一向に「景気」が 「回復」しないのも、「国際的」に見ても「日本」という「国」は、めずらしい「国」である。

「日本」の「国内GDP」は「500兆円程度」であるから、この「70兆円」の増額分は「14%」に相当する。 単純に計算しても「消費税の2%」の増額を考えると「16%」は「個人消費」は落ち込んでも不思議はない。 たぶん、今回の「所得税特別減税」は、この「個人金融資産」をさらに増幅させるだけで「景気回復」には役立たない。 もっと「抜本的」な改革を行うべきである。

  おまけに「金融機関」は「貸し渋り」だけでなく「不良債権」の回収に本気で取り組んでしまっているから 「黒字の会社」まで潰してしまう有様であり、本来の「使命」である「信用創造」などあったものではない。 なりふり構わず自己防衛のためだけに「債券回収」に走って「景気」を混乱させる「金融機関」を救うために、 はたして「公的資金導入」などする必要があるのだろうか。

  最近「流行」で「金融ビックバン」などときれいごとを言っているが日本経済が普通の状態に戻ったときに、 現状の「信用収縮」を進めた「金融機関」に、果たして「融資」を持ち込んだり「貯蓄」などする「企業」がいるかどうか。 「優良企業」は「社債発行」等を通じて「民間」から「資金調達」する動きに弾みがかかり、また「商社」などは 「海外銀行」からの「資金調達」が主流となりつつある状況のなかで、目先のことにとらわれた「国内の銀行」などが、 「21世紀」に生き残ることができるものかは、大いに疑問である。

  最近、「本レポート」もあちこちの「業界団体」や「マスコミ」にも読まれているから、ここで2年ほど前に書いた 「消費促進」案を再度考えてみたい。

  だいたい「政府」は「個人消費」を甘く見ている所に間違いがある。いくら「公共投資」などやったところで「個人消費」に結びつかなければ、全体的な「景況感」にはつながらない。 本当なら「消費税」など撤廃してしまえば「インパクト」があるのであるが、長期的に見た場合「減税」の必要はあるが、ここで止めるわけにもいかない。

  そこで「所得税特別減税」などではなく「サラリーマン特別控除」を認めて「消費促進」につなげた方が「税収」も上がるし、 「国内景気」は向上する。

  たとえば「会社」で「コンピュータ」を購入すれば「経費」として認められるのに「サラリーマン」には、何らの「メリット」がない。 私自身、ここ2年の間に「3台」も入れ替えており、既に「100万円」以上は投資している。 これらの費用は「会社負担」してくれないから「個人」の「源泉所得」の中で「税引き後」の所得で支払うことになる。

  仮に「源泉所得税率20%」のひとがこれを「経費」で認めてもらえるとなれば、「20万円」は負担が楽になる。 同様に「携帯電話」「ファックス」、あるいは「資格取得のための講座費用」なども業務上必要なものは「経費」で認められれば 「消費意欲」は促進されるから「景気」は回復するし、「法人税」だって向上する。

  もっと極端な話、会社帰りに「同僚」と「飲み食い」したり、得意先と個人的に食事などをした場合、「接待交際費」なども認めたって良いではないか。
そして、一方、「預貯金保有税」などを創設して、異常に「現金.預貯金」などを「保有」しているひとを「課税対象」にしてはどうか。

  かつて「バブル退治」などと称して「不動産所有者」に対しては「不公正」な「重税」を課してきた。
「行政側」からしてみれば「重税」とは思っていないのかもしれないが「不動産」を「資本」としてみた場合、かなりの「重税感」がある。

  例えば「100坪」の土地が「1坪100万円」であれば「1億円」である。この土地に「10世帯のアパート」を建築して 「1億円」かけて「賃料収入」が年間「1200万円」あったとする。総資金を「借入金」でまかなった場合、「利息」は3%として、年間「600万円」。 「減価償却費」は、木造建物で年間「460万円」、いろいろな雑費が年間「40万円」かかったとする。

  そして「固定資産税」が年間「120万円」であれば経常利益は「−20万円」となる。 つまり「不動産所得」は「マイナス」なのに「固定資産税」の「経費率」は「不動産賃貸業」が「赤字」であっても 「売上の10%」に相当してしまうのである。

  おまけに「居住用賃貸」の場合は「賃料」に対し「消費税」は課税できないのに「修繕費」「維持費」等には「5%」の「消費税」が課税される。 「不動産賃貸業」の場合、昔から「不動産(土地)」があって始めるものだと考えるひとが大半であるが、 本来、「事業」とはそういうものではない。

    さて、話は戻って何が言いたいかと言うと、先のように「不動産」を「借金」して「2億円分」所有すると「固定資産税」が 否応なく「課税」されるのに、「現金」を「2億円」もって「遊ばせて」おいても、何ら「課税」されないと いうのは「不公平」ではないか。また「現金」の場合、「利息」が発生した時は「利子所得」のみに「15%の分離課税」 されるのに対し「不動産」の場合「不動産所得」は「総合課税」になってしまうから、「他の所得」が高ければ高い分 「税金」は高くなってしまうのである。

  この辺の「不公平感」を是正し、「現金預貯金保有税」とか、「固定資産税」に対抗して「流動資産税」とか、 名前は何でもよいからそちらに「課税」して、「固定資産税」等を下げるようにすれば「日本国内」の潤沢な「個人資金」は 「流動化」するから「消費」は促進され、「株価」や「不動産」の「需要」も増加する。現状、「近隣諸国」の「通貨下落」を 見る限りは「日本国内」での「インフレ」は考え辛いから、思い切った「政策」を打ち出しても問題はない。

  今回の「土地税制改正」を見る限り「キャピタルゲイン(譲渡益)」に対する「減税」を中心に行っているが、 この「資産デフレ」の経済では、あまり効果があるとは考え難い。
  また、「公共投資」のための「補正予算」などを組んで、「場当たり的」な「景気対策」などをしたところで、 さらに「財政」状態を悪化させるだけで、将来の「国民の負担」が増えるばかりである。

  「政府」「日銀」、そして「官僚」は、かつての「バブル経済」をつくってしまった「原因」も、そして「バブル退治」といって、 「日本経済」を現状の状態にしてしまった「要因」も、この「譲渡益課税」を中心にいじりまくった結果であることを、 深く「認識」する必要がある。
  いい加減に「インカムゲイン(収益)」に対する「減税」を行って「個人消費」を促進させる「長期的なビジョン」で 「日本経済」を経営できる新たな発想をもたなければ、本当に「この国」に「21世紀」は訪れないのである。

  ところで「ビッグバン」の語源は、

天文学上の「Big Bang Theory(爆発宇宙論)」
に由来するものである。
  そして、日本版「ビックバン」とは「21世紀」に向けた「金融改革」。
「フリー(自由性)」「フェア(透明性)」、そして「グローバル(国際性)」を求めて「金融改革」を行っているつもりのようであるが、 あまりにも「理想」と「現実」が「乖離」したものとなってしまっているように思う。

  「日本経済」が「語源」どおりの「爆発宇宙論」的なものにならないように「一国民」として、祈るばかりである。


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