「長期滞納者」等に対する処理方法? Part2
「海外研修」から帰国した途端に「酷務」に追われ「本レポート」の「6月号」の執筆ができず、結局「欠号」となってしまった
かつて「本レポート」を「社内用」に発行したことをきっかけに、かれこれ「発行回数」も「50号」を超える。また、「発行部数」も「1200部」を超え、
「オーナーの方」はもちろん「弁護士」や「税理士」の「専門職」の方から、私の講演への参加をきっかけに「金融機関の方」や「同業者」の方からも要望があり、
そちらの方面にも送付させて頂いている。
私自身、毎月1回の発行を心掛けてはいるものの「読んで頂いているかた」にしてみれば、さほどの「期待感」はないのではないか、などと考えていたが今回の
「欠号」では、たいへん多くの方より「お問い合わせ」を頂き、なにか「本レポート」にもそれなりの「存在感」が感じられ、「執筆」させて頂いている立場としては、
とても「ありがたい気持ち」である。
問い合わせを頂いた方のなかには「本レポート」を「副次的」に「知人」や「顧客」に郵送したり、また、個人的にファイルして「保管」しているというひとがいたり、
もっと驚いたことには「本レポート」を題材として「朝礼」や「勉強会」等をしている「不動産業者」さんがいるということには、「驚き」とともに、
なにか「照れくささ」すら感じてしまった。
いずれにしても「本レポート」について、何らかの「価値観」をもって愛読して頂いているひとがいる、ということは私にとって「たいへん嬉しいこと」であり、
今後も引続き「発行」して行きたいと考えている。
ただし、今回のように「業務上やむを得ない理由」により「発行できない」こともありえますので、その節はどうぞご勘弁頂きたい。
さて、前回の「レポート」では「家賃滞納者」に対する「処理方法」に関し、「内容証明郵便」での「滞納賃料の請求まで」を書いた。
今回は、前回のレポートの続きを解説したい。
4)内容証明送達後の対応
さて、「内容証明郵便」が送達されると「気の弱いひと」などはなんだかのアクションを起こしてくることが多い。
例えば「分割して賃料を支払う」から「契約解除」は勘弁してもらいたいとか、「賃料は間違いなく支払う」から、しばらく「待ってもらいたい」とか、
いろいろなことを言ってくる。
この場合は後々のことを考えて「支払約定書」などの「私文書」をとったり、場合によってはその支払いについて「公正証書」による
「契約書」を作成したほうがよい。また、「退出」を前提で支払いを待つような「交渉」が入った場合は「契約解除」「明渡し期日」「賃料の支払方法」を
明記した書面を取得するようにしたほうがよい。
先にも書いたが、ここで心得ておきたいことは、約束どおり「払えるひと」は最初から「滞納などしない」というである。
私自身の経験から言って「文書」で「約定」をもらったからといって、そのとおり「払ってきてくれるひと」は「全体の2割」にも満たない、
というのが実状であるから、結果的に問題点を先延ばしにするようであるが、こちら側の「誠意」として一度は譲ってあげることは、後々「訴訟」等をした場合に
「裁判官」に対して心証はよくなる。
また、時には逆に「気の短いの」になると「内容証明が届いたこと」で逆上して怒鳴り込んできたりするのもなかにはいる。
この手の「ひと」を「相手」にいくら話し合っても、一切、「問題の解決」にはならない。このような相手には「言いたいことがあれば法廷でいってよ!」、
程度にあまり相手にしないで、むしろ、どんどん手続きを進めたほうが「無難」である。
5)「即決和解」手続きに持ち込む
さて、上記のように「内容証明」が送達され「相手方」との「交渉」がある程度進められるようであれば、お互いに「和解内容」を取り決め「簡易裁判所」に
「即決和解の申立て」を行うことも、「ひとつの手」である。
先にも書いたが「建物明け渡しの債務名義」を取るためには「訴訟」をするか、この「即決和解」をするかしかない。
例えば「家賃の滞納」もさることながら、とにかく「出て行ってもらいたい」というようなひとには、効果的な手段である。
多少ここで「下手(したで)」に出ても、この「即決和解」に相手方が応じてくれるのであれば、あとあと「訴訟」で「判決」を貰うことを考えたらやすいものである。
手続きとしては「滞納賃料の支払方法」「契約解除期日」そして「退出日」をお互いに話し合って「即決和解の申し立て」を「管轄簡易裁判所」に手続きし、
「呼出し日」に「当事者双方」が仲良く「出頭」して「和解」できれば「完了」である。
「即決和解」の場合、かりに「相手方」がこの「和解内容」に「違反」したときには「送達手続き」を経て「強制執行」に持ち込むことができる。
よく「オーナー」から「この手のひと」に対する「相談」にのることがあるが、けっこう「感情的」に行動しては、「損」してしまうひとが多い。
「貸室賃貸借契約」は「家賃の滞納」など「借主」に「重大な過失」がなければ「解約」はできない。
なかには「契約書」に「6ヶ月前に予告」すれば「解約ができる」と書いてあるから「予告」をすれば「解約」できる、と思っている「大家さん」はいまだに多い。
これはあくまで「相手方が承諾」すれば、の話である。
「家賃」が入っている限りは、少々の「違反」があったからといって「解約」して「明け渡し」を請求するということは「法律的」に難しい。
あとあと「弁護士」に頼んで「訴訟」してもらって、結局「判決」がとれずに「多額な和解金」と「弁護士費用」を負担して、やっと「解約」するということを考えれば
ちょっとだけ「借主」に「お願い」して「即決和解」に応じてもらうくらいは結果的に「やすいもの」、なのである。
6)支払命令
「解約」「明け渡し」までは請求しないにしても、なんとか「家賃」だけは「回収」したい、という場合に効果的なのがこの「支払命令」である。
この「手続き」は「内容証明」で事前に「請求」しなくても直接この手続きをすることはできるし、「民事調停」と違って「裁判所の呼出し」に「相手方」が
「出頭」してこなければ「勝ち」である。
あとは「仮執行宣言」等の手続きを経て「動産等の強制執行」もできる。
また、「相手方」が「異議申立て」を行い「出頭」してきた場合でも、べつに賃料を「滞納」していることに違いはないから、「裁判」に移行したからと
いって、当然「負けるけんか」ではない。
せいぜい「相手方」の意向を汲んで「分割払い」に応じるくらいなものである。
また「手続き」としても「簡易裁判所」で行うものであり、案外「簡単」で「費用」も安く、「家賃督促」に対して「払う払うといっては払わないひと」や
「連帯保証人」で「ごねるひと」などには効果的な手段である。
また、この「支払命令」は「賃料滞納」だけでなく「貸金」や「損害賠償」「売掛金」の督促手続きなど、けっこう範囲は広い。「債権額」が「90万円」以内であれば、
この手続きは「おすすめ」である。ただし、前にも書いたが、いくら「債務名義」が取れたからといって、「相手方」に「支払能力」がなければ何にもならない。
「手続き」を行う前に、そのへんは十分「調査」する必要はある。
7)動産処分の強制執行
さて、仮に「支払命令」を行い、「諸手続き」を経たにも拘わらず、一向に「相手方」が賃料も支払わないし「明渡し」もしないような場合、通常、我々の場合は
「動産処分の強制執行」
をかけてしまうことが多い。
もちろん、ここで誤解されては困るが、先にも書いたとおり「家財道具」を「競売」にかけたところで、よくて「4〜5万円程度」にしかならないから、
損には損なのである。
ましてや「債務者競落」などになってしまえば、何にもならない。
ここでの「目的」は、あくまで「家財等の差押」により「相手方」に対し、「精神的なプレッシャー」をかけることによって、「賃料の支払い」や「明渡し」の「交渉」を進めることにある。したがって、実務的には「差押え」から
「競売」の日までの間に「明渡し交渉」を行い、円満に退出してもらって残った「債務」については連帯保証人を交えて話し合うことになる。
しかしそこまでやってあげても、まったく「誠意」がないひとも中にはいる。
このような場合はしかたなく「家財」をこちら側で「競落」「処分」し、
物件内を「生活必需品」のみにしてしまうことも、たまにはある。
いずれにしても、お互いにあまり「気持ち」のよいものではないから、我々としては「円満な話合い」で解決するようには心掛けては、いる。
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