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HOME不動産コンサルティング倉橋隆行倉橋不動産コンサル始末記>過去の倉橋レポート 1997年12月号

       
「国自体」が「債務超過」に陥っている日本経済。今後の行方は? 


いよいよ「1997年」も、あと少しで終わろうとしている。
結局、今年も「予想」どおりの結果になってしまった。

  何だか、最近、「知人」から「本レポート」をもらって読んだが「非常」に「参考になる」ので、できれば「バックナンバー」も一緒に送ってもらいたい、 などという電話が続いてあり、何だか「照れくさい」感を隠し切れないまま、とりあえず保存しているものだけを見繕って、送って差しあげることにした。
  だいたい「本レポート」の場合、その時々の「瞬間的な事象」をもとに将来の予測をしたり、私自身の「意見」や「考え方」を 「勝手気まま」に書かせて頂いているものであるから、他の出版書物と違って「過去の原稿」を「意識」して「保存」などしていなかった。
  今回、ちょうど良い機会であるから過去の原稿やら、版下を探しながら「整理」をしてみたが、いま読み返してみると、 その時々の「書いているときの心証」が伝わり、結構、楽しいものである。

ただ、整理しながら気づいたことであるが、過去2〜3年の「政府」や 「日銀」の「行動」や「発表」には、ちょっと恐いものを感じてしまった。

  「本レポート」の「94年12月号」では「金融機関」の抱える不良債権は推定で「120兆円」あり、 その昔「銀行は雨の降る日に傘を貸さない」などと言われてきたが、現状は「晴れた日に傘を貸しすぎて」誰も返してくれず、 「ついに自分の傘がなくなった」状態である、と書き、「翌年1月号」には、「1995年は日本経済の清算局面」であることを 「強調」して書いているがなんと「政府」も「日銀」も、当時は「日本経済は明らかに回復基調にある」などと繰り返して「発表」していたのである。

  同様に、「95年7月号」では「上場企業」の大半は「クロス取引」による帳簿上の決算内容を調整し続けてきたが「そろそろ危ない」ことなどを 指摘し、「同10月号」では、「政府」「日銀」の「PKO(プライスキーピングオペレーション)」 は「日本経済」の「回復」を遅らせる結果となることを指摘しているのであるが「政府」「日銀」は、当時、大量の「赤字国債」を発行してまで 「株価維持」に努め、なんと「無責任」にも「96年1月」には「村山内閣」は、誰も責任を負わないまま「退陣」してしまっている。

  また「96年6月号」では、当時「金利上昇」が広く一般的に噂されるなか、「アメリカ」と「日本」の関係から「金利上昇」は絶対にありえない、 ということ書いており、案の定、当時から現在に至ってまでも「日銀」は「公定歩合」等の「金利」を上げることはできてはいない。

  ようやくその頃から「マスコミ」も「政府」も「日銀」も「日本経済の昏迷」を意識し出してきてはいるものの「日銀」は、 更に「日本経済」は緩やかではあるが徐々に「回復基調」にある、などと「寝ぼけたこと」を言い続け、景気判断を「間違え続けた」ばかりか、 こともあろうに「97年の4月」には誰も納得していないのに「消費税」を「5%」に引き上げ、「個人消費」に大きく「ダメージ」を与えてしまった。
  おまけに、つい最近まで、例の「緩やかな回復基調」の主張を崩さなかったのだから、まったく「何とかにつける薬」はいまだにない、のである。

  かつて、「日本経済の混乱を回避する為」に「やむを得ず6850億円」の「公的資金導入」を決めて「住専」の「不良債権の処理」を 進めた結果、またもや今回も「公的資金の導入」である。

  当時から我々コンサルタント仲間では「不良債権の総額」は「120兆円」を超えるものと指摘されいたのに、当時、政府の試算では 「12兆円」と発表しているのだから、もともと「勘定」が合う筈はない。
また昨年の段階で「赤字国債の残高」は「240兆円」、隠れ借金も含めると空前の「430兆円」といわれていたが、今年は「旧国鉄債務」を 含めると多分「500兆円」程度に膨らんでいるだろう。ここで、さらに「赤字国債」を発行して「金融情勢」を安定させると言うのも わからないではないが、一体、今まで「政府」や「日銀」のやってきた「つけ」の責任は、誰が負ってくれると言うのだろうか。

  これからは「金融ビックバン」の時代だから「自己責任」の時代だ、などと都合の良いことを言っているが、「国民の自己責任」を問う前に、 「政府」も「日銀」も「官僚」も、いままでやってきた「責任」を負うべきではないか。

「財政」が「赤字」なんだから「国民のみなさん」が我慢して下さい、というでは「日本」に「政府」はいらない。

(97年4月号)

 

  「当事者意識」を欠いた「村山政権」時代も怖いものがあったが、生真面目一本槍で名ばかりの「行政改革」など追っかけ続ける 「橋本政権」も、現状の「日本経済」を考える上では、何だか危っかしい気もする。

  例の「昭和40年大不況」のときは「60%の企業が赤字」に転落したが、国の財政には余裕があったから何とか立ち直ることができた。 しかし、現状の日本経済は「GNP500兆円」に対して「財政赤字が500兆円」である。 日本の税収は国税で「55兆円」、地方税で「33兆円」、合せてもだいたい「90兆円」にも満たない。

  例えば「500兆円」を返済年数「10年」で、利率「3%」で借りた場合、月額返済額は「4兆8280億円」であり、 何と年間返済額は「57兆9360億円」であるから、収入「90兆円」に対する「返済率」は「約65%」である。

通常、サラリーマンが住宅を購入する場合、その返済率は「40%」が上限とされているから、この返済率「65%」では「サラ金」だって貸してはくれない。
「借金」は内緒でしておきながら、いつも「負担」は「国民」なのである。 

「政府」は「国民」の「利益」の為にあるのに、今の「政府」は何をやっても「損」ばかりしては「借金」を繰り返すのだから、 たちの悪さはこの上ない。

  さて、今年最後の「レポート」なのに、何だか「腹立たしい」内容になってしまって恐縮ではあるが「現実問題」として、 来年は今年よりも厳しいものとなることには違いない。

  今年の「9月号」に書いたとおり「山一證券」は潰れ、たぶん「某大手」の「生命保険会社」も危ない。 かつ、現状の「株価」のままでは「本業」に体力のない「ゼネコン」や「ディベロッパー」なども大いに危険である、といえる。

  「山一証券」の場合は、「特殊能力」が認められる「専門職の社員」だけは「再就職」の道があったが、残念ながら「一般職」は 「再雇用」の道は厳しく、これが更に「生保」や「ゼネコン」「ディベロッパー」ともなれば、たいへんな数の社員が 「再雇用」されず世の中に「失業者」として溢れ出すことになる。また、これらの抱えた「不良債権」の問題が、再度、 浮上してくるとなれば、またもや「能力」の低い「政府」は「国民」に「負担」を求めて問題を先送りにするだろうから、 「日本」の抱える「借金」は「雪だるま式」に膨れ上がる。 おまけに「税収」は、もっと「減収」になるだろうから、「日本の国」自体が「悪循環」を繰り返えせざるを得ない。

  そこで、来年である。

  先程、今年最後の「レポート」なのに「腹立たしい」内容であると書いたが、別に「悲観的」になる必要はない。
この「日本」の「借金」は、「国民」に対する「借金」であって、他国から借りてきた「借金」ではない。
日本国内では「マネーサプライ」は相変わらず「上昇」して「個人資産」は「1200兆円」などと「異常な国」である。
また、最近の「円安水準」では、再度「貿易黒字」がかさむ事もあって、外貨、特に「USドル」は「日本」に集まりやすい。 以前「橋本総理」がアメリカの大学で「外債処分」をほのめかせただけで、一気に「円高」に進んでしまったほど「ドル」は もろい。

最近の「円安」は「定番」のように言われているが、私自身「為替」については、いまだに「慢性化した円高ポジション」であると考えている。

  あまりこの「誌面」では書くことはできないが、前記を踏まえれば、もう「数」に限りはあるが「日銀」も「政府」も「打つべき手」の余地はある。 それらを総合的に「推測」すると取りあえず「日本経済」が行く所までいってしまってから、「アジア」を 含めた「インフレ」に進むのか、または「東南アジア」を犠牲にして徐々に「インフレ」に進むのか 「速度」の速い遅いはあるかもしれないが、必ず近い将来「インフレ」に「リバウンド」することは間違いない。

いま「弱く」て、その時に「強い」ものは、何か。
来年は、そんなものを「研究」して「手を打つ年」なのではないだろうか。


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